卒業記念DVDの内容とは?

すっかり更新が遅れてしまった。
もう配布も済み、配布者は一通り確認しただろうから、そろそろネタばれをします。
僕が卒業生たる息子のために作成したDVDの内容はこんなものでした。

前提

  • 息子在籍していた小学校の卒業生を対象に、DVDを制作する。
  • 実行委員会は6年生になってから発足されたものであり、今までの撮り貯めたソースがない。

一言で言えばカードも無い、リソースも無い。
そんなわけで、こんな戦略を立てました。

戦略

  • カードが無い事を逆手に取る企画にする
  • 今まで制作されていたDVDは、あえて見ない(見ると企画が引っ張られるから)

ま、居直りですね、一種の。
でも、ずっと貧乏なサラリーマン生活をし、今もやはり貧乏なフリーランス生活をしているため、こういう撤退戦略みたいのは得意だ。
で、企画はこんな感じになった。

自分で設定したハードル

  • 今の卒業生に向けたメッセージのように見せかけて、実は「10年後の卒業生に向けたメッセージ」を制作する。
  • そして、卒業直後に見ても、その意味が分かりにくいように作る(いやらしい)
  • でも、卒業直後に楽しめるようにする

マゾww

企画

  • 卒業生全員からインタビューを撮り(最大20秒)、それをメインコンテンツとする
  • インタビュー内容は次の3つから選択する。これにより、子供達の「今」を未来に伝える。

「いま、好きな事」
「いま、一万円もらったら?」
「いま、行きたいところ」

  • インタビュー時、各児童に「名前」「将来の夢」を書いたフリップを持たせ、時間当たりの情報密度を濃くするとともにに、子供達の「今の夢」を未来に伝える。
  • インタビュー時に出てきたキーワードで、「あーこりゃ、10年後には生き残ってねえなあ」というキーワードは、画像や説明をインポーズで挿入する。これにより、10年後に「いの人は今?」的に楽しめるようにする。
  • 同時に、先生方からもインタビューをもらう。テーマは、やはり「将来の夢」。大人が将来の夢を語るって、とっても大事なことだと思うので。

ま、口で言うのは簡単だけど、編集は大変だろうなーと思っていた。
やってみたら予想の4倍くらい大変だった。

ちょい足し効果

戦略を補完するため、以下のちょい足しを行った。
・・・というか実は、この「ちょい足し」を思いついたところから企画が始まってるんだけど。

  • エンディング曲として、いきものがかりの「心の花を咲かせよう」をセレクトする。スタッフロールに混ぜ、さりげなく歌詞を下に表示しておく。

ちょっと説明すると、この曲はこんな歌詞でして、サラっと聴いただけだと「あるひと時を通り過ぎた瞬間の感傷」を歌った曲なんだけど、よーくよく聴いてみると実はそのベクトルが「ずっとずっと先の未来」に向かっているんです。
DVDに使う曲を探している時、たまたまこの曲を聴いてその事に気づき、「あーもー、この曲使うしかないじゃん」って思って。そうしたら、こんなテーマで編集しようってアイデアがぐんぐん湧いてきた。
ずっと先の未来、大人になった子供達は、それぞれに楽しい人生の中にも辛い時を迎える瞬間が訪れると思う。普通の人がどうだか知らないけど、そういう時に僕は何度か卒業アルバムを開いた経験がある。そんなシチュエーションでこのDVDを観て、その時にはじめて僕が伝えたかったメッセージ、つまり本人も気づかないうちに、DVDに映っている6年生の自分が、将来の自分に対してメッセージを送っていた事に気づいてくれたら良いなあーと思ったのでした。

結果

  • きっと意図が伝わらなかったんだろう。先生達は僕の出したお題「将来の夢」をガン無視orz「卒業生のみなさん、ご卒業おめでとうございます!中学に行ってもがんばってください!」みたいな事ばかり喋ってた。はっきり言って呆れた。ちゃんと聞けよ。
  • でも、子供達は戦略通り、「今好きなものはイチゴでーす」とか、「今一万円貰ったら嵐のコンサートに行きまーす」とか、「今行きたいところは秋葉原でーす」とか、今の「どーでも良い事」を喋ってくれた。この「どーでも良い」ってのが大事なんだよね。だって、仮に「将来の夢」とか語らせたら、大人うけする事喋っちゃうもんな。それって、本当の「今の自分」じゃないから。
  • オープニング/エンディングをはじめとして、全体の雰囲気はかなり「それっぽく」仕上がった。Final Cut Pro Xに感謝しなくてはなるまい。

結果として、かなりクォリティも高く、そして「伝わる奴には伝わる」というレベルでメッセージも残せていると自画自賛しています。返す返す先生達のメッセージが残念だけど、まあ仕方ないよね。今の大人に「将来の夢を語って」って言っても、大抵の人は意味がわからないんだろうし。

反響

かなりすごかった。わざわざ電話かけてくる人とか、わざわざメールしてくる人とか、結構いた。その半分くらいは僕の企画の意図を分かっていて嬉しかった。この分だと、大人になった子供達の半分くらいは気づいてくれるかな?

爪痕

いやいや、かなり仕事=所得には大きな爪痕を残しました。。。なにせ、この制作で手が回らなくなって、仕事外注してしまったくらいですからね。ボランティアレベルは軽くオーバー。

でもさ

まあ、いいんですよ。自分の息子や、息子の友達のためだからね。プライスレス。プライスついちゃってるけどwww
周りの人々には「自分の子供のためなら、やりがいはあるしやりたいけど、他の子供たちのためにはできねえ。ぜってえできねえ」と吹聴してます。そうしないと、菓子折り持ってきて「今年もやってくださーい」みたいな事になりかねないから。いや、こう言ってても来るだろうから。
ま、自分の娘のためならやるけどね。それは3年後かなー?

どうしても見たい方は

そんな人がいるのかわからないけど。
えーと、かなり子供の個人名とか出てるんで、公開は難しいんですよね。
で、それでも見たいって方はご相談ください。僕のリアル知り合いであれば、DVDをご提供する事も検討しまっす。

でもね、かなり良い出来なんだよなー。見せられないのが残念です。

TsunenoTakashiサイト管理者

投稿者プロフィール

1973年生まれ。千葉県松戸市在住。
株式会社プラチナマイスターCOO
金融機関においてシステムエンジニア・プランナーを経験後、障がい児の娘が小学校へ入学した2010年にフリーランスへ転向。以降、Webを中心としたディレクター/エンジニアとして従事。
業務とともに地域活動にも従事し、PTA会長等を歴任。お金は大切ですが、時にはお金よりも大切な仕事もあります。

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